黃金奇異果

温帯と亜熱帯のあいだ

小豆島オリーブ収穫日記2 共同生活について

今回のオリーブ収穫は比較的大きな農園でやっているので、自分を合わせて10人の短期スタッフが参加している。

 

平均年齢は28歳くらいで、ほとんど自分と変わらない年齢の人が半数くらいを占めている。新卒で5、6年働いた会社を辞め、30歳手前でいったん立ち止まって、農業バイトやリゾバを始めてみるという人は結構いるということが非常に新鮮だった。

 

他には40過ぎや30後半の人もいて、春はいちごやメロン、夏はスイカ、冬はみかんなどと、季節とともに全国の農家で転々と仕事をしながら生計を立てているひとも複数人いる。

 

年収は100万を切っているけど、農園で働いていれば規格外の野菜やフルーツはたんまりと食べられるし、農園の端っこなどで自分の作物を育てていれば、それなりに楽しいし食費も浮くというので、存外楽しい生活スタイルではあるのだと。(他方、将来への漠然とした不安みたいなものはあるみたいだ)

 

そんなメンツ10人で、この仕事中は農園が所有している宿泊施設で集団生活をしている。

 

大人数で他人と共同生活をするなんて、大学の合宿以来だ。自分の時間や生活習慣は割ときっちり守りたい派である自分は、長期間の集団生活に多少の不安があったのだが、蓋を開けてみると存外楽しい。

 

仕事終わってキッチンに行ったら誰かがなんかを作っていたり、買ってきた地酒をシェアしてくれたり、それに合わせたつまみを適当に作ってくれたり。ちょっとした会話とかやりとりが、心地よい。

 

それでいて自分の部屋もあるから、別に誰とも話したくない時は篭ることもできる。

 

この感覚、何かと似ているなぁと思ったら、旅行先のゲストハウスの感じ。1日過ごした中で見たもの、美味しかったものなんかを適当にシェアして、気が合った人とはもう少し踏み込んで過去とか将来の話をする。

 

こういうやりとりが結構好きで、一人で旅行に行ったときは旅人と交流できるゲストハウスに泊まるのは定番になっていたのだった。

 

思えばここ数年、特にコロナ後は、見ず知らずの人と生活したり、ゆっくり話したりという機会がほとんどなかった。家と職場だけ、あるいは家だけで生活が完結してしまうとやはり煮詰まってくるし、凝り固まってくる。何より、反省をしたりする機会がなくなっていくので自己が肥大しやすい。

 

また今後定住したり、定職についたとしても、ちょっとした泊りがけのボランティアとかワークショップとかには積極的に参加してみるのも良いなと思った。