黃金奇異果

温帯と亜熱帯のあいだ

台湾生活で失ったもの

台湾生活も5年目になり、台湾のあらゆるものが日常の風景となってしまった。

 

大学の時に旅行して以来どっぷりと台湾にハマってしまい、大学在学中からサラリーマン生活をしている3~4年の間に10回近く台湾を訪れた。

当時は中国語が一切できない自分にとって、繁体字の看板やメニューはとてつもないエンターテイメントであった。

小林髮型とか、中野安全帽とか、日本語母語話者としてはかなりツボな字面の看板を見つけては意味を推測したり、ツッコミを入れたりしながら台湾の街中を歩くのがめちゃめちゃ楽しかった。

 

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「いつか、これ全部の意味がわかるようになったらもっと楽しいかもしれないな」とも思うようになった。

 

全部の意味がわかるようになった今、どうだろう。結果としては、意味しかわからないから面白くもなんともないのだ。意味しかわからないから、特に目を配る必要すらなくなって、日常の風景になってしまった。

 

どうしてくれよう!あの面白さを取り戻したい。
たまに友人が台湾に遊びにきた時などは、あの頃の私のように、看板やメニューを面白がって写真に撮るのだがそれが羨ましくてしょうがないことがある。

 

何にしても解像度が低いからこその面白さがあるということだろう。

ミーハー的な楽しみ方とも言えるかもしれないが、別にそこまで卑下するものでもないとも思う。

 

ということで、最近は意識的に低解像モードで出かけるということを実践している。最初は半ば無理くりなのだが、慣れてくると結構自然に解像度が落ちてきて、散歩が楽しくなることはもちろん、観光客気分になってきてちょっとしたお土産まで買いたくもなるのだから不思議なもんです。